子育て・安産地蔵尊と浄土院善光寺式三尊石像

漆山浄土院善光寺式三尊像
浄土院門前のお堂の中に納まっている。
安山岩の自然石の前面を蓮弁式に彫りくぼめて光背とし、その中に薄い半肉彫りに掘り出している。
本尊は全高74センチで、蓮弁の臼座の上に立ち、右手は前に肩の所まであげて施無畏印、左手は下げて下品下生印を結んでいる。
この印相は、来迎印の間違いであろうか。
衣紋は写実的で優美な彫りである。
面相は丸顔で穏やかでやさしい。
頭頂に肉髻はないが、螺髪を刻み、頭光を頂いている。
両脇侍は同じスタイルで、全高50センチ、臼座も衣も、両手を前で重ねた手印も、宝冠、頭光も全く同じに刻まれていて、観音、勢至を示す化仏も宝瓶も識別できない。
しかし、この石仏は明らかに一光三尊の善光寺式で、浅い彫りながら実に優美な作柄である。
後面に「安政5年戊午年三月吉日、当寺二十六世良珠代」の紀銘がある。